ボロ


 ある日、家の裏手にやってきた野良猫。
 ガリガリに痩せて、毛並みも悪く、それが汚れているのか模様なのかも分からないような猫。
 妻は半べそをかきながら、「ボロボロの猫が来た」と言った。
 近寄ると、枯れた声で鳴く。

 その日から二年近く、ボロは我が家で暮らした。
 年齢も分からず、口の中が病気に罹っていたが、なんとか肉も付き、少しは毛並みも良くなった。
 「ボロ」と呼ぶと、いつもヒョコヒョコ歩いてきて、膝にポンと飛び乗った。
 寒い日はストーブのそばから離れない。
 そんなに近付くとヒゲが焼けるよ、と言いながら妻はボロを膝に乗せる。

 ボロはぼくらのそばで死んだ。
 口の中の病気が重くなり、通院させるも治らなかった。
 ボロが死んだあと、夢の中にボロが出てきて、ボロ、ボロ、と、泣きながら目が覚めたことが何度かあった。

 

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