鉛筆削り

 実は、手回し式の鉛筆削りじゃなかった。
 叔父さんが小学校入学祝いにと、当時最新式、ナショナルの電動式を贈ってくれた。
 しかし、あんなつまらないものはない。
 鉛筆を突っ込むと、ガリガリブルブルとモーター音がけたたましく響き、真っ赤な本体に、ご丁寧にアラームまで付いていた。
 このアラームがくせ者で、適当に合わせていたら、真夜中に大音量でブーッと鳴った。
 あいつは本当に憎らしかった。
 だからぼくは、長年手回し式に憧れていたのだ。

 去年、念願かなって、やっと憧れの手回し式を手に入れた。昔作られていたクラシカルタイプの復刻版を買った。これでやっと、ぼくも普通の男子になれた。
 しかし、毎日鉛筆を削るわけでもなく、実はそれほど使うこともないのだが、机の隅に置いて、このフォルムを眺めるだけでいいのだ。そして時々、空のハンドルを回したり、削りかすの溜まっていない蓋を開けてみたりしている。

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