野球場

 中原中也は野球が好きだったようである。
 しかし、見るからに運動神経はなさそうで、やるより眺めるほうだったろう。

 「夏の夜に覺めてみた夢」の、あの野球をぼんやりと眺めている情景は、野球好きには覚えがあるし、『春の日の夕暮れ』の、「アンダースローされた灰が蒼ざめて春の日の夕暮れは静かです」というのも、「アンダースロー」という言葉が野球からのチョイスでないにしろ、どこか野球の持つグランドの土くささを感じる。
 「トタンがセンベイ食べて春の日の夕暮れは静かです」
 西陽を浴びた野球場が目に浮かぶ。
 夕暮れて、スタンドにポールの影が伸びてゆく。

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